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結婚するんだなぁ もさお。

オタクで喪だったアラサーが既婚になるまで…結婚に至るもさおへ至る結婚。

引越し当日 〜両親とさよなら編〜

父親は駅のロータリ―で下ろして自分は車から降りないのかと思いきや、駅近くの駐車場に車を停め、もさおの荷物を下ろしました。

「じゃあ、行こうか」

母親がそう言い、もさお達は三人で歩き始めました。

 

改札にはすぐ着きました。

何となく気まずい雰囲気で母親とも父親ともしっかりと顔を合わせられません。

ですが、もうそろそろ新幹線の時間です。

「じゃあ、行ってくるから」

そう言うと、母親からは「気をつけてね」、父親からは「じゃあ」と言われました。

 

改札を抜け、しっかりと切符を握ってから振り向きます。

当たり前ですが、両親はまだそこにいました。

私は何を言っていいのか少し迷いましたが、

「じゃあね」

「行ってくるね」

「またね」

悩んだ上で言葉にしたのは、これらの言葉でした。

「さようなら」や「バイバイ」は言いたくありませんでした。

 

意外にも母親が早く背を向けてしまったので、私はホームへ向かいました。

もしかしたら母親は泣いていたのだろうか、と考えましたが、そうだとしても、そうでなかったとしても、私はどうすることもできないのでした。

もし結婚するとしたら県内でと思っていました。

それは母親のことが心配だったのと、甘えとがあり、私は親不孝をしたのか、と少しだけ考えてしまいました。

 

変えられないことを延々と頭の中で堂々巡りさせるのは好きではありません。しかし今日はそんな考えがあちこちと浮かんでは消えます。

 

その日は何だか不思議な気分でした。

午前中にマンションの部屋を空にしたのに、いつものように関西に行って2泊3日くらいして九州に帰るような気がしていました。

しかし、切符は関西行きの切符しかありません。

 

私は結婚する実感も、九州を離れる実感もありませんでした。

そのことを友人に言うと「結婚というのは実感がないまま、日常になっていくのだ」と言われました。

 

なるほどな、と友人の言葉を噛み締めながら、私は窓の外のよく晴れた空を眺めていました。